ベロアは自宅で洗える?素材の基本情報とお手入れする時の注意点
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高級感漂う素材の代名詞的存在といえば「ベロア」。
パーティーやセレモニーの際のドレスやワンピース、衣類以外でもバッグや靴、そして毛布などの寝具にいたるまで、柔らかく品の良い手触りと、光の当たり具合によってエレガントな雰囲気を演出できる魅力はベロアならではです。
ベロアの洗濯方法と聞いてピンとこない方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなベロアの基本情報とお手入れの方法をご紹介します。
記事の目次
知ってて得する!ベロア素材の特長
ベロアはどうしても高級なイメージが先行するため「持っていない」と思いこんでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、洋服やパンプスのワンポイント、冬用のコタツ布団、ジュエリーケースなど、意外にも生活に馴染みのある素材です。
高級っぽいということで言えば「別珍(べっちん)」もありますよね。
ベロア、ベルベット、別珍。確かに語感は似ているけれど何が違うのか、基本的な情報を知っておきましょう。
より身近になったベロアとその魅力
ここ最近では、ファストブランドの店頭にもベロア素材のアイテムが並ぶなど、ひと昔前と比べると普段のコーディネートの中に、より気軽にベロアを取り入れられるようになりました。
また素材自体のシーズンレス化も拡充し、以前は秋冬物という印象が強かったベロアにも明るい春カラーのものが登場するなど、より長い期間楽しめる素材として浸透しつつあります。
ファッション性の高さと独特の高級感は、トップスにもボトムスにも使いやすく、また程よい保温性は春や秋の季節にぴったりです。
ベロア・ベルベット・別珍の違い とは?
ベロアの定義は実は非常に曖昧で、織物を加工したものと紹介しているところもあれば、編物と紹介しているところもあります。
ひと言でいうとプラッシュ編のパイルをカットして、毛足の短いベルベットのような加工を施したものがベロアです。
プラッシュは、パイル織物の一種でタオルをイメージしてみてください。
素材の無駄な糸を切り落とし手触りを良くした素材のベロアは、タオルの親戚と考えて良いでしょう。
ベルベットは「ビロード(veludo)」とも呼ばれていて、毛足の長いパイル織物で、レーヨンや絹などの繊維が使われています。
簡単に言うならベロアとベルベットを見極めるコツは、伸縮性です。
軽く引っ張ってみて、伸びるほうがベロア、伸びないほうがベルベットです。
対して別珍の別名は「ベルベティーン(velveteen)」で、綿を主な素材とした毛足の短いパイル織物です。
ベルベットに比べて、比較的水に強いという特徴があります。
ベロアの長所
- 高級感がある
- シーズンレスなアイテムやファストブランドでも手に入る
高級感の中にもやわらかさがあり、大人だけでなく子供服にも多く用いられています。
春先物のアイテムの拡充や、最近ではファストブランドでも購入できることから、ひと昔前と比べて気軽に取り入れられるようになりました。
おしゃれな素材でありながらも手軽に手に入れることができるのがメリットです。
ベロアの短所
- 洗濯表示によっては、洗濯機で洗えないものもある
- 保管に工夫が必要
ベロアは洗濯機で洗えないものがあり、お手入れに手間とコストがかかることがあります。
また、毛羽が倒れてしまわないように保管するため、ハンガーに吊るしておく場合はクローゼット、重たい衣類と分けて引き出しに入れておく場合は専用の収納ボックスなど、保管場所にも注意が必要です。
ベロアは自宅で洗濯できる?
洗濯表示を確認して「水洗いNG」のマークがあるもの以外は、おうちで洗濯機、もしくは手洗いが可能です。おうちで洗濯できないものについては、使い終わったらクリーニングに出すように心がけましょう。
水洗い可能なものはご自宅でも洗濯ができますが、注意点はしっかり覚えておきましょう。
ベロアを洗濯機で洗う方法
洗濯機で洗濯可能な場合は、必ず洗濯ネットを使用しましょう。
用意するもの
- 洗濯ネット
- おしゃれ着用洗剤
ベロアを洗濯する手順
- 事前にファスナーやボタンはすべて閉じて準備します。
- 目立つ汚れがある場合はおしゃれ着用洗剤を直塗りしておきます。
- 汚れが外側になるように折りたたんで洗濯ネットに入れます。
- ドライコースまたは手洗いコースなどの弱水流コースで洗います。
- 脱水時間は標準よりも短く設定しておきましょう。
- 陰干ししたら完了です。
手触りが大切なベロアは柔軟剤を入れるのも忘れないでください。
ベロアを手洗いする方法
手洗いは覚えてしまえばそれほど苦ではありませんし、何より洗い方を微妙に調整できるので、お気に入りの一着を洗うときなどは洗濯機に比べて安心感があります。
用意するもの
- おしゃれ着用洗剤
- 柔軟剤
- ぬるま湯
- 洗面器またはたらい(洗面所でも可能です。)
ベロアを手洗いする手順
- ぬるま湯におしゃれ着用洗剤を適量溶かします。
- ベロアを優しく手のひらで押すように洗います。衣類を水に沈ませたり浮かせたりを10~20回ほど繰り返して、中までしっかり洗剤が染みわたるようなイメージで洗っていきます。
- 水を入れ替えて泡が出なくなるまですすぎます。
- バスタオルにはさんで水気をとります。
- 脱水は洗濯機で1分〜3分程度行いましょう。
- 日陰で干せば完了です。
手洗いのコツはとにかく優しく丁寧に行うことです。
ベロアの素材どうしを擦り合わせたりもみ洗いをすると生地が傷む原因になるので注意してください。
目立つ汚れがある場合は、おしゃれ着用洗剤を汚れに直塗りして優しく汚れを落としましょう。
ベロアの正しい干し方は?
ベロアは脱水後は、なるべく早く干すようにしましょう。
振りさばくなどして衣類に空気を馴染ませ、軽く引っ張ってシワを伸ばしたら、手のひらで撫でるなどして毛並みを整えてください。
縫い目の多い、襟・袖・裾などはシワが残りやすいので注意しましょう。
ハンガーを使用する際は、型崩れを防ぐために厚手のものを用意します。
秋冬物のベロアは濃い色に染め上げているものが多いので、日焼けを避ける意味でも、風通しの良い場所に陰干しするようにしましょう。
スカートやパンツは、ピンチハンガーを使って筒状に干すのもおすすめです。
また、乾燥機は毛羽が傷んだり、また生地全体の縮みの原因になったりするので避けてください。
ベロアを長持ちさせるひと工夫とは?
乾かした後、シワが残ってしまった場合、どうしてもアイロンを使いたくなってしまうものですが、ベロアは熱に非常に弱いため直接アイロンがけするのはNGです。
せっかくふんわりと起き上がっている毛羽がぺちゃんこになってしまうので注意してくださいね。
もし、シワを取りたいのであれば、スチームアイロンがおすすめです。
スチームを当てるときは、生地から2~3センチほど浮かせてシワと毛羽の状態を確認しながら行いましょう。
また、数日のあいだに着回す予定がある場合も、スチームアイロンは使えます。軽いシワや少々の汗の匂い程度ならスチームを当てれば元通り。
過度な洗濯でのベロアの傷みや手間が気になるときはスチームアイロンを活用しましょう。
ベロアは保管方法にも要注意
ベロアはハンガーに吊るした状態で保管してください。
たたんだり、また引き出しの下の方にしまったりすると他の衣類の重みでせっかくの毛羽が倒れてしまいます。
他の衣類もありどうしても収納ボックスを使う場合には、軽く柔らかい素材ばかりを集めるか、ベロア素材だけで、単体の引き出しをひとつ作る工夫をしましょう。
ぎゅうぎゅうに詰め込まないように気をつけながら保管すれば、毛羽への負担も小さく、たたみジワも目立たずに済みますよ。
自宅でできるベロアのお手入れ方法
ベロアは毛羽の風合いやシワ、色落ちとともに、ホコリも気になりますよね。
特に秋冬物の濃い色目のアイテムは糸くずやペットの毛が付着しているのがすぐにわかってしまいます。
衣類のホコリを取り除く際に、ガムテープやカーペットの掃除の際などに使用する「粘着カーペットクリーナー」をお使いの方もいらっしゃるかもしれませんが、これだと毛羽も一緒に取ってしまう可能性があります。
一番良いのは洋服ブラシを使用することですが、洋服ブラシがない場合は食器用のスポンジでもお手入れが可能です。
目の荒いほうで優しく撫でるようにすると、ホコリや毛玉を取り除くことができますよ。
また、ベロアは水に弱い素材であるため洋服用の防水スプレーを使用して事前に対策しておくのもおすすめです。
適切なお手入れでベロアの高級感をキープ
デリケートな素材であることには違いはありませんが、ベロアをより知ることで気をつけなければいけないポイントや洗濯や保管方法もご理解いただけたかと思います。
適切な方法を知って、大切なベロアの衣類を長く愛用できるよう心がけましょう。